1988年4月1日
シールド一次覆工の高品質・高速施工(1998年)
1.はじめに
近年のシールドトンネルは、土地利用の過密化や大深度化による長距離施工が多く、工事工程の長期化傾向にある。長期化に伴う増大する工事経費の削減や社会公衆影響への低減、さらに建設分野においても週休2日制の導入等、労働環境の改善が叫ばれている。また、業界全体でISO9001・ISO14001の取得と高品質・高環境な施工が要求される。こうした中で、高品質かつ工事期間の短縮が大きな課題である。
2.概要と特徴
当工事は淡路島東部の津名港付近で津名町公共下水道事業の一環として津名町志筑~大谷地区までの、仕上がり内径1350mm、路線延長1663.212mをシールド工法により施工する。地層は、上位より盛土層、沖積層、段丘層、大阪層群である。長距離掘進で途中に比較的土被りの少ない河川横断が2個所あり、また、小口径で急曲線15Rが2個所、60Rが2個所あるため高精度な施工が要求される。当工区は、ハイパーシールドシステムを用いて掘進管理を行う。
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工事名称 : 平成8年度津名町公共下水道事業 津名汚水幹線(第1工区)管渠築造工事
発注者 : 兵庫県津名郡津名町
工期 : 平成8年12月17日~平成12年3月24日
請負金 : ¥1,200,000,000 (税別)
主な工事内容
(1)一次覆工
1. 工 法 : 泥土圧式シールド工法(中折れ式)
2. 工事延長 : L=1659.612m (路線延長L=1663.212m)
急曲線 R= 15m 2ヶ所 R= 60m 2ヶ所
R=100m 3ヶ所 R=200m 2ヶ所
3. 掘削外径 : φ2,140mm(マシン外径)
4. 鋼 製 : 外径φ2,000mm 幅 750mm、300mm
5. 土 被 り : 8.2m~5.7m 地下水位:GL-2.7~-2.55m
6. 施工勾配 : +1.9‰
7. 土 質 : 洪積粘土、洪積砂層、洪積レキ層
8. 最大レキ径 : 想定φ120mm(φ40×3)
(2)二次覆工 仕上がり内径φ1,350mm
(3)人孔築造工 7ヶ所 (発進部1カ所、中間部5カ所、到達部1カ所)
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3.高品質・高速施工の背景
砂層、粘土層、礫層でのシールド工事、また小口径・急曲線施工は、数多く施工されている。当工区地盤は、掘削断面が砂層、粘土層、シルト層、粘土層、砂層、砂礫層と変化に富んだ地盤である。海に近い為、塩分を含む地下水の流入による奮発、土質による土圧制御が問題となる。また、急曲線15R、60Rがそれぞれ2個所(左右)あり、これらに対応したシールドマシンや後方設備の検討さらにはハイパーシールドシステムの採用により、良好な施工管理、高品質、そしてハイスピードでシールド掘進を終える。
以下の項目を重点にした計画をしました。
1. 急曲線に対応したマシン・台車・ベルコンの選定
2. ハイパーシールドシステムの採用による掘進管理
3. 漏水対策としてセグメントにシール溝を付ける
4. 高環境な残土改良材(高分子系のクリサット)の選定