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GTS2010(GLOBAL TRAINING SCHOOL)inカンボジア王国

2010年7月5日

GTS2010inカンボジア・レポート

GTS2010(GLOBAL TRAINING SCHOOL)inカンボジア王国
(2010.6.30~7.4)
谷口 光

公益社団法人日本青年会議所近畿地区協議会主催のGTS2010(グローバル・トレーニング・スクール)は、「OMOIYARI溢れる世界へ」をテーマに、カンボジア王国のシェムリアップにて開催しました。近畿地区内の各地青年会議所より71名のメンバーが参加いたしました。今回のミッションは、GTS事業を通じて、世のため人のためという精神を醸成し、自らの行動へとつなげていく意識を芽生えさせ、その芽生えた意識をもって自らが率先してカンボジアの人々への日本の伝統的な精神である「OMOIYARIの心」を伝播させることが目的であります。

カンボジアでは歴史的背景もあり、十分な教育がなされず、児童労働、貧困、HIV、人身売買、地雷、性的搾取等たくさんの問題を抱えています。私たちはJCIカンボジアメンバーと協力し、NPO法人かものはしプロジェクトの視察とワーカー達との交流や小学校児童へのOMOIYARI授業を行ってまいりました。

 

 

GTS初日(6月30日)

関西国際空港会議室にて結団式を行いました。参加者メンバーの団結力と士気を高め、カンボジアでスムーズに事業を行うための伝達や注意事項の確認を行い、行動へとつなげていく意識を芽生えさせました。結団式終了後、GTS一行はカンボジア王国のシェムリアップへ出発しました。初日の夜、JCIカンボジアとの交流会も行いました。

 

GTS2日目(7月1日)

シェムリアップ近郊農村にあるコミュニティーファクトリー(かものはしプロジェクト)を訪問しました。この「かものはしプロジェクト」は、児童労働の中でも、最も子どもの心と体を傷つける児童買春・人身売買問題をなくすために活動しています。経済的自立を目指すためにコミュニティーファクトリーという雑貨工房を作り、貧しい家庭の人たちに職業訓練をし、就業の場を提供することで、貧しさから子どもを売り渡すことを未然に防いでいます。自ら得る経験に説得力を持つために、現地にて共同作業(道路補修作業、ハンドメイド品材料収穫、看板作成など)やワーカーさん達の家庭を訪問しました。

価値観の違いや現地の状況、格差の現実を目の当りにしました。作業終了後、ワーカーさん達と共にアンコールワット遺跡の視察や夕食会で交流を深めました。交流会の後、翌日以降のOMOIYARIプログラムの打合せ準備および各グループに分かれてクメール語で「おむすびころりん」の練習を行いました。クメール語の発音もかなり難しく、通訳ガイドにチェックしてもらい、深夜まで何度も何度も練習しました。

 

GTS3日目(7月2日)

6:30ホテルを出発し各グループに分かれてカンボジアの小学校(プームトノル小学校、コパトゥリー小学校)を訪問しました。カンボジアの小学校は、2部制になっていて、午前のみ登校の子どもと午後のみ登校の子どもに分かれています。午前のみの子どもは朝6時ぐらいには学校に来ているらしいです。各家庭の事情により、家の手伝いや働きに出ているため、毎日学校に登校できない子どももいます。

まずは、お互いが仲良くなるためアイスブレイクタイム。自己紹介やネームプレートを作成し、お互いの名前をニックネームで呼び合いました。心と身体の緊張をほぐす表現遊び(にらめっこ)をしました。子どもたちの順応性もよく積極的に参加してくれました。互いの緊張もほぐれたところでOMOIYARIプログラムⅠ(おむすびころりん)、伝統的な思いやりを描いた絵本(おむすびころりん)を、子どもたちにクメール語で読み聞かせを行いました。識字率の低いカンボジアで通じない言葉を使ってOMOIYARIを伝えるのは大変困難でした。言葉で通じないところを補うために紙人形劇をしながら読み書かせしました。

私たちの前日深夜までの練習と子どもたちも真剣に聞いてくれたお陰で、下手なクメール語でも何とか子どもたちに話を伝えることができました。絵本の登場人物や感想を子どもたちから聞きました。この話に出てくるような優しいおじいさんになりたいと言った子どもが沢山いました。私たちが伝えようとしているOMOIYARIの心が少しカンボジアの子どもたちに伝わったと思います。

続いてOMOIYARIプログラムⅡ(学の夏休み)、日本青年会議所作成の映画「学の夏休み」をクメール語に吹き替え作成し子どもたちに鑑賞してもらいました。この映画は、次世代を担う子どもたちに、日本人が古来より大切にし、培ってきた豊かな精神性、倫理道徳観や価値観を学ぶ機会の提供となっております。映画鑑賞後、ワークシートを用いて、主人公だけではなく様々な登場人物の気持ちになって考えて頂きました。質問に対し子どもたちも積極的に挙手をしてくれて、子どもたちの感想を聞き、私たちがこのプログラムを通じて「先人への感謝の心」「もったいないの精神」「OMOIYARIの心」「自然を慈しむ心」を導きだせたと思います。

続いてOMOIYARIプログラムⅢ(OMOIYARIの樹、大縄跳び、折鶴、歯磨き)まず、私たちのグループは、歯磨きの習慣が一般化していないカンボジアの子どもたちに、歯磨きの仕方を実演し、次に子どもたちに実際に歯磨きを行ってもらいました。次に、OMOIYARIの鶴をみんなで折りました。初めて折り紙を折る子どももあり、みんな一生懸命に苦戦しながらも折鶴を完成させることができました。子どもたちの理解力も早く2羽目、3羽目と自分たちで楽しそうに鶴を折っていました。

 

 

最後にOMOIYARIの樹といって学校の壁面に樹木を描き、葉っぱの部分を子どもたちにペンキの手形で完成させてもらいました。今回の私たちとの経験が形として残り、子どもたちはその樹を見るたびにOMOIYARIの精神を思い起こしてくれればと思っています。

 

 

休憩時間には、みんなで大縄跳びに挑戦しました。中々飛べなかった子どもたちも帰るときには、タイミングも上手に取れるようになり、飛べるようになっていました。カンボジアの子どもたちは、順応性もよく素直で何事にも一生懸命であり、OMOIYARIを伝えに行った私たちは、逆に子どもたちから多くのことを学びました。

 

盛り沢山な1日の締め括りは、OMOIYARI&PEACEの集いコンサートです。カンボジアの市民を集め、JCIカンボジアが1万人規模ともいわれる野外ライブ(プーロホクソク特設会場)を開催しました。この平和の集いにて私たち日本青年会議所近畿地区協議会は、カンボジア・シェムリアップの各小学校に対して歯ブラシ6000本を寄付しました。また、カンボジアの有名歌手やシェムリアップの市長も参加して下さり、平和の集いコンサートに花を添えて頂きました。子どもたちの合唱や踊り、日本の伝統文化の和太鼓演奏などを行いました。最後に、私たちGTS一行とJCIカンボジア及び子どもたちで舞台に上がり、「WE ARE THE WORLD」を大熱唱しました。会場内の1万人ともいわれる一般市民の方々も大熱唱で、世界はひとつになれた瞬間だと感じました。

 

GTS4日目(7月3日)

OMOIYARIプログラムⅣ(夢を語る、写真交換)JCメンバー一人につき8~10名の子どもを受け持ちました。子どもたちに将来の夢について語って頂いたり、お互いの写真やメッセージの交換を行いました。言葉はわからなくてもお互いにOMOIYARIを学んだ思い出を共有できたと思います。小学校で子どもたちと過ごした楽しい時間もあっという間に過ぎお別れのときがやってきました。最後に手を振りながら私の名前を何度も何度も叫んでいる子ども、私も手を振りながら子どもたちの名前を叫んでいました。みんな涙が溢れんばかりの状況でした。目を閉じると今でもそのシーンが浮かび目頭が熱くなります。

私たち自身が子どもたちから教わったことが多くありました。カンボジアでの子どもたちとの思い出は、私の人生の中で大切な宝物となった気がします。そして、解団式にて、お互いがこのGTSを通じて感じたことを語り合いました。私たちは、OMOIYARIをカンボジアに伝えに来たが、カンボジアに来て本当の意味でのOMOIYARIを学びました。OMOIYARIは、ただの言葉遊びになってはならない。

口ではOMOIYARIと簡単に言えるが、それが相手に伝わっているかはわからない。相互理解があってはじめてOMOIYARIが伝わるものだと改めて感じさせられました。今回、参加者全員が全てのプログラムに真剣に取り組んだことで、カンボジアに小さなうねりを起こすことができたと思います。その小さなうねりをJCIカンボジアのメンバー、かものはしプロジェクト、そしてプームトノル小学校、コパトゥリー小学校が、さらに大きなうねりに変えて、カンボジアという国を、OMOIYARIの心が溢れる国へ導いていってくれることと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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